LE GARAGE Motoring Collection:dothebag
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ル・ガラージュが選りすぐった品々の中から、こだわりの逸品をさらに掘り下げてご紹介。 |
MOTORING TOTE BAG
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クルマ好きにはバッグ好きが多い。素材や製法に対する興味が似ているのだろうし、自己表現という共通点もあるからだろう。
このトートバッグ、一見すると古典的でありながらも近代デザインの味わいもあって、それだけで魅力的だが、このバッグの価値は、クルマ好きの友人に蘊蓄を語れることにある。
いわゆるCCタイプのクルマ、つまりハードトップを電動開閉することでクーペからカブリオレへと変容するボディ形式が今の“オープンカー”では主流だが、この仕組みの開発設計が難しいことはあまり知られていない。この種の複雑なルーフ設計においては、長い経験に裏付けられたノウハウが何よりも大切であり、それを持っているのはヨーロッパを中心に世界でも数社しかないのだ。これらスペシャリストは技術を蓄積しているだけでなく、パテントも押さえている。加えて大企業では不可能に近い、職人技とでも表現すべき高い品質管理体制を敷くことで、はじめて製造を請け負うことができる。そんなことから、世界中の主要メーカーが作る自動開閉式トップ部分の大半は、スチールであれファブリックであれ、ごく限られたスペシャリストに開発設計が委ねられているし、場合によっては製造も依頼されている。
要するにカブリオレ・ルーフの開発というのは、自動車技術の中でもかなり難度が高い部分なのである。
古くからの自動車フアンならフォルクスワーゲンのカルマン・ギアを覚えているだろうが、戦前からドイツのカルマン社はクルマの幌製作においては老舗のひとつだった。
戦前のドイツは、カブリオレの発祥地だったといってもいい。同じオープントップといっても、基本的に馬車時代からの形式を引きずっているから多種の様式があるが、中でもきちんとした内張を持ち、優れた耐候性を誇るぶ厚い幌と、それを折り畳むときのために使う上質な金属ジョイントを備えたカブリオレは、ドイツ製高級車がもっとも得意とした。北国ゆえに気候が厳しいからであり、同時に軽快感よりも重厚さを求める市場の要求が強かったからだ。
したがってドイツには優れた幌作りと金具作りの伝統が蓄積されてきたが、特に有名なのがカブリオテックスとテナックスである。前者は幌素材、後者は金具の製品名である。カブリオテックスは、正式には現在はアメリカの会社がゾネンラントの名前で商標登録している上質な幌素材だが、実際の製造は今も昔もドイツで、カルマン社が戦前から使ってきたのもこの素材である。かつては上質なコットンやオイルスキン、ラバーなどを重ねていたが、現在の製品はアクリルとポリエステルの混合素材を綾織りにした外皮に、コットンを二重編みした裏地を持ち、その間にラバーの層を入れて優れた耐候性や防水性を確保している。
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一方、ジョイントや幌をとめるピンなどに使われる専用金具は、テナックスと呼ばれる実録製品で、これは昔からドイツのヘピヒというメーカーが独占的に作ってきた。1980年代に幌の電動技術が導入されるまで、1930年代以降のヨーロッパ車の実にほぼすべてが、このテナックスを使っていたという。
幌にしろ金具にしろ、これだけの歴史的背景と技術的蓄積があるからこそ、現在の大メーカーでも専門家に依頼しなければならない。現代のクルマでも、このように伝統工芸に頼っている部分があるというだけで、何となくうれしくなる。
もうお分かりだろう。このトートバッグはこうした幌づくりの伝統工芸を活かして作られているのである。開発販売するのは、エンスージアスティツクな自動車アクセサリーでお馴染みのル・ガラージュで、「dothebag(ドゥ ザ バッグ)シリーズ」と呼ばれる。実用的でありながらカジュアルな感覚に富んだいわゆるトートバッグだが、なんと言ってもその素材がいい。バッグ生地はカルマンで伝統的に使ってきているカブリオテックス、しかもそれに組み合わされている金具類はテナックスなのである。このバッグ、カブリオテックスだから風合いがいいだけでなく丈夫で耐候性や防水性に富む。加えてテナックスのピンが組み合わされていることに意味がある。「ほら、良くできたトップの場合、閉めるときに幌の部分を思い切り強く引っ張っても、ピンが壊れたりその周囲の布が破けたりすることがないでしょう。それは単に頑丈なだけでなく、幌と金具との素材的、設計的相性がいいからなんだ。それはこのバッグも同じだね」
友人にそんな自慢をしながらこれを身につけるのは、クルマ好きの大きな喜びだろう。text=大川 悠
(CAR GRAPHIC 2007/7 別冊付録「こだわりの逸品」より)









