LE GARAGE Motoring Collection:RSL Peccary Glove from GERMANY

ル・ガラージュが選りすぐった品々の中から、
こだわりの逸品をさらに掘り下げてご紹介。
今回はドライビンググローブの最高峰と言える
RSL社のペッカリー皮革のグローブを
クローズアップしました。

最も愛着の持てるグローブ。

RSL Peccary Glove from GERMANY

  •  しなやかな肌触りと自然な感触。ドライビンググローブに求められていることを考えると、最も重要な要素が「自然」であることなのだと気づかされる。掌は汗をかき、またステアリングは路面からの衝撃を返す。ドライビンググローブは本来手を保護するためのものであり、また汗によるドライビングミスからそれを守る。ひととクルマの接点こそ掌と足。コントロールすることにおいてはこの二つしか無いのだから。

     実際にドライビンググローブといわれるものはこの世に幾つも存在する。しかし、愛着に至るまでに廃棄となるものがほとんどである。硬化し、吸汗せず、また逆に滑るようになってしまう。これではグローブの意味を成さない。グローブの素材としては他の皮革製品同様、主に牛や羊などの皮革が多用されたが、ドライビンググローブとしての機能性には問題が多かった。

     ペッカリーはアメリカ大陸に生息する猪に似た小型の偶蹄類。標高の高い森林を住処とし、厳しい乾燥と寒さを耐え抜く毛皮を持ち、その皮革の特徴である繊細な繊維組織のもたらす柔軟性と丈夫さ、そして体を守る太い剛毛の生えていた毛穴に由来する通気性と吸湿性を併せ持つ「最高の手触り」は、まさにドライビンググローブの素材にうってつけであった。

     マイスターの国ドイツでは古くよりこのペッカリーの皮革に着目し、多くの逸話を生み出してきている。着用したままお札が数えられるグローブとしてはDENTS社のそれがつとに有名ではあるが、このRSL社も1928年から乗馬用品を手掛けるメーカーとして、必然的にこのペッカリー素材を採用し、優れた製品を生み出している。

     RSL社は乗馬用品として手綱を操るグローブを出発点として現在のドライビンググローブを作り続けており、まさに操るということに対する思想がそこに顕れているのではないだろうか。
     このグローブの特徴のひとつに「綻んだら自分で直す」というのがある。使用するにつれて傷んでくるのは万物の法則であるが、手入れ次第で長きに亘り使い込むことができる。

  • RSLドライビンググローブ

     このしなやかなペッカリー革は高品質な麻糸で紡がれているが、やはり糸は摩擦などによって切れていく。また、皮革は伸びることから、フィット感が甘くなることもある。このような場合に、クルマを磨いたりメンテナンスを行うように、自分で直すというのもこのグローブの特徴のひとつである。

     実際のメンテナンスとしては「汚れ」「綻び」「フィット感」「硬化」などに対し各々手入れの仕方は異なるが、洗ったり紡いだりといったこれらの積み重ねこそが、自分流のグローブに仕立て上げる手段でもあり、皮革製品を使い込むことの醍醐味なのだと思う。これこそまさに「愛着」の持てるグローブということなのではないだろうか。

     私が学生の頃、それはたいそう皮革製品にこだわりを持つ先輩がいた。彼の興味はもっぱらレザーのパイロットジャケットであったが、それは本当に手入れが行き届いていて、腕の動きにもしなやかに追従し、しっとりとした独特の光沢を放っていた。そんな彼の口癖は「革は生き物」だった。それはもちろん動物から作られた皮革なのだから至極当然の言葉なのだが、妙に納得させられるその語りに聞き入ったものだ。

     そんな訳で手入れの時間も自分と愛車との蜜月のひとつとして大いに楽しんでもらいたい。これもクルマ趣味の奥深さのひとつなのだろうと思うのは私だけでは無いはずだから。


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